ワケがありまして、幕末にございます。






この場に沖田さんがいたら爆笑してることだろう。


何故なら土方の着流しを捲ってやったのだから。


あ、でもアタシは勿論中身見えてませんけど。




「(まさか副長の褌(フンドシ)が赤とは…)」


「(…愁君、やはり…)」


「そういや…なんかあったのか?」




何も言わず黙っている2人を不思議に思った土方がそう問う。




「…副長の褌について考えてました」


「さっきの事は忘れろ」




…やっぱり斎藤さんはどこか天然だと思うのはアタシだけだろうか。




「私は…愁君の様子がおかしいなと思ってだな、」




続いて口を開いた近藤さんの言葉にピシ、と体が固まった。




「……」




沈黙がその場を包む。


近藤さんも斎藤さんもアタシを見ているのか、視線を感じる。


それを見兼ねた様に土方がフゥ、と一息付いてアタシの頭に手を置き数回弾ませた。


まるで“言えよ”と手が代弁している様で。

しかし急かしている様にではない。



…しょうがない。

遅かれ早かれ、いずれはバレるのだ。


現に斎藤さんは分かっていると思うし。



皆に座る様促し、さっき土方に言ったことを再び口にした。