ワケがありまして、幕末にございます。





「…お前、人を斬ったの昨日が初めてじゃないだろう」




―――ドクン、




心臓が一度強く波打った。


それを隠す様に土方の胸の中で緩く縦に首を降る。


もう、あの日、あの瞬間から。



きっとアタシは鬼以外になれない、ならない。




「俺が10歳の時。
決して助からない傷じゃなかった。
けどその人はそれによって亡くなった。






―――俺は…父を殺したんだ」










ドォーン…パラパラパラ



再び沈黙の中、花火の花開く音が響く。


咲いては散り、咲いては散る。




「…悪かったな」


「ホントだよ」


「………」




全く、思い出さすんじゃねーよ、的に言ってみたり。




「チッ。
テメェはまだ泣いてろ」


「ハッ、もう泣かないし」


「どうだか」




口調は荒くも撫でる手は柔らかで。

少しだけ涙が零れたのは秘密だ。