ワケがありまして、幕末にございます。





――ビュオッ

カンッ

キンキンッ




当たっては互いを弾く刀と物。



…この戦い方じゃ、いずれ負ける。



どうすればいい、なんて思うより早く体が動いた。




キンッ

カンッ


ガッ!




「ゔ!!」


「へ…?」




弾いた瞬間、本の少しの隙を狙って足を振り上げたら、思いの外ピンポイントで強く当たったみたいだ。




「ちょ、ちょぉ…」




男の急所に。








「…ごめん」




落ち着いた頃に、とりあえず謝った。




「や、かまへん。
俺もやりすぎたわ」




苦無(くない)を投げてきた彼は苦笑しているだろう声で言った。




「やりすぎたどころじゃないよね、当たったら死ぬよねコレ」


「堪忍、愁なら大丈夫やと信じとったから」




是が非でも信じないで欲しい。



もっと力入れて蹴れば良かった。




「…じゃあ、コレ1本頂戴」


「じゃあてなんやねん。

そないなモンどないするん?」


「んー…土方いじめに使う?」


「何で疑問やねん」




しかも副長いじめって。



そう丞は続けるも、本気でやらないと分かってるからか深くは突っ込んで来なかった。