ワケがありまして、幕末にございます。






「おら」


「あ、ありがとうございます」




木刀を受け取ると、アタシ達は真ん中で間隔を開け向き合い、ゴツい人はその中心に立った。


他の人は周りに座って観る気満々だ。


やりにくいことに変わりはない。


が、頬を撫でる緩やかな風、体にまとりつく熱気、ピリピリとしたこの雰囲気。



全てアタシにとって心地良いもので、アタシの気持ちを燃えさせる。




「好きな時に始めろ」




ゴツい人はもの静かにそう呟いた。



ガヤガヤしていた周りの人達も、その呟きでだんだんと静かになっていく。