ワケがありまして、幕末にございます。





ヒヤリと冷たい水に手を突っ込んで考える。



何で斎藤さんはあの場に居たんだろう

何で何も聞かないんだろう



不思議な事がいっぱい。


…まぁいずれ聞けばいっか。




おそらく綺麗になったであろう手を目に突っ込む。

もう片方も突っ込む。




「っ痛…、あちゃー…」




取り出したのはコンタクト。

…であっただろうモノ。


ソレは吉田の腕を斬った時に入ってしまった血で汚れており、レンズも破れてしまっていた。



しかも傷ついたレンズを付けていたせいなのか、それとも長い間外さずにしていたせいなのか、はたまた両方のせいか…目を開くとめっちゃ痛い。


まるで眼球を針で刺されている様に痛む。



…嫌な予感、当たっちゃったな。



痛みが引いてくれればいい。

裸眼でも一応見えるものは見えるし。


…最高にぼやけて、だけど。


でも瞼を閉じちゃそれも意味がない。

けれど開くと痛い。



…勘弁して欲しい。



1つため息を落としてゆっくり立ち上がる。


確かこの辺に篝火(かがりび)があったような…



パチッ、パチパチッ…



木が焼ける音の方に数歩歩き、一瞬目を開いてその一瞬の間に手の中のモノを火の中へ投げた。



パチパチ…



この時代のモノではないコンタクト。


下手に地中に埋めるより燃やした方がいいと思ったから。



パチ、パチッ




きっと、燃えただろう。