ワケがありまして、幕末にございます。





「愁」


「…ん?」




丞がしゃがんでいるアタシの正面、顔を覗き込んでいる気がする。

息遣いがやけに近い。




「愁…?
目から血ィ…お前まさかっ」


「違うよ。
丞が思っている様な事にはなってない」


「じゃあ何で…
「新八!!平助!!」




左之の大きい声が丞の言葉を掻き消す。


いつもはウザイけど今だけはありがとうだ。




「死んでねぇか!?
くそぉ、ごめんなぁ俺の到着が遅かったばっかりに…」


「左之、まだ死んでねぇから。
勝手に殺すな。

あとそのままだと平助死ぬぞ」


「なに…!
死ぬな平助ぇぇ!!
死んだらぶっ殺すぞぉぉ!!」


「お前が離せば死なねぇよ」




どうやら左之は2人を抱き締めている模様。




「お、そうかそうか…って平助てめぇ何怪我してやがんだぁー!!」


「いででででででで!!」


「新八、おめぇはどこも怪我して………」


「………」


「お前等ぁ…っ、何斬られてやがんだぁぁーーー!!」


「「いだだだだだだ!!!」」




え、ちょ、マジ2人とも死ぬよ?



バカ?

本当にバカなの?