ワケがありまして、幕末にございます。






―…ドタドタ



足音がする。


きっとこの音は…



辿り着く間際、そっと沖田さんから離れた。




「総司!!」


「ケホッ、ひじ、かたさ…ゴホッ」


「お前、血、…吐いたのか?」




心底心配そうな声色。

どことなく震えている様な気さえする。



あたしが吉田と戦う前から沖田さんは驚く程血塗れだった。


パッと見、土方がそう思うのは仕方がない。




「あ…コレ全部私の血じゃないんですよ〜コホッ」


「……」


「心配し過ぎ…ゲホッゲホッ」


「総司!!
おい誰か…市村、白湯持ってこい!」


「え…」




今は、まずい。




「早く持って…おい、市村?」


「あ…」



どうしよう。



なかなか動かないアタシに不審がる土方。

けど今のアタシの状態を教えるワケにもいかない。


もっと離れていればよかった。




「えっ、と…」


「副長、こちらを」


「あ、おぉ、すまねぇ。

…ホラ、総司」




カサ、音がして、コク、コク、と薬を飲んでいることが分かった。