ワケがありまして、幕末にございます。





「チッ!
新八、平助看てて」


「あ、おい愁!!」




きっと沖田さんは…




「ゲ…ホッ、ゴホッ ケホケホッ……ゴホォッ!!」




視界に捉えた瞬間、沖田さんは今までで一番酷い咳をした。


口を押さえていた手を見つめ、固まっている。



やっぱり…!!



吉田はその瞬間を見逃さない。

槍を放り投げ、その辺にあった刀を手に取り振りかざした。



危ない…!!




「沖田さんに手ぇ出すんじゃねぇ!!」




ギィィイン…



刀と刀はギチギチと競り合う。




「…ほぅ」




敵意を持つアタシに薄ら笑う吉田。



再びお互い距離をとる。



重い打撃に腕が痺れる…強い。


…けど。




「愁くん…」


「もぅ、あんな思いはごめんだ。
死なせねぇ、これ以上」




シュラ、音をたてて左手で抜いた。




「!!」




土方が選んだ、あの刀を。