ワケがありまして、幕末にございます。








「じゃぁさっそく手合わせお願いします!」




ニッコニッコな顔を前に、無理ですなんて言えない。


言う人はとんだ強者だ。




「…分かりました。
お願いします」


「竹刀ですか?」


「木刀でいいです」


「…分かりました。
でも私、自分の分しかないので…、誰かに借りましょう。
今なら皆稽古中だと思うので」




着いてきて下さいね、と言って歩いて行く背中を追う。




さっき、最初に竹刀かと聞いたのは、きっとアタシの体型を見てのことだろう。


女としては他の女の子よりガタイが良く大きく見えるが、男としては小さすぎる。


腕も我ながら余計な脂肪はなく筋肉だが、男の腕とは比にならないほど細い。




けどぶっちゃけアタシは木刀を使い慣れている。



まぁそれは後々。




今はこの手合わせに集中だ。