ワケがありまして、幕末にございます。







「…私からは言っちゃいけない気がするからね。
土方さんに直接聞いてみたらどうだい?」




よっこいせ、そう言って源さんはゆっくりとした足取りで帰っていった。



その後ろ姿は聞いても答えないよ、と伝えている様で。



すっかり温くなってしまった茶を飲み、縁側から部屋に戻る、と足音が聞こえた。


誰か来たかな、と見ると腕が赤く腫れた隊士が入って来た。




「…チッ、てめぇかよ」


「…?
あ、手当てしますね。
桶を持って来るんでちょっと待っててくださ
「いらねぇ」


「え、でも、」


「してくれる人がいる、って言われて来てみれば。
誰がてめぇみてぇな気色の悪ぃ奴に手当てされるか。

何もしねぇクセに偉そうに、てめぇはただのお荷物だ!!」




最初なかよりも足音を大きく鳴らして、やけに揉み上げの濃い彼は去って行った。