「さやか、お帰り!」
黒板に大きく書かれた文字。さやかは、私。
私は、どうやら好かれていたみたいだ。
「さやか、会いたかったよ」
いろんな人に再会を喜ばれた。
でも、私にとっては皆初対面で。
ハグされるとびっくりする。
緑に教えてもらった、私は2年4組。
入ったら迎えてもらってしまって、名前を覚えていない事を申し訳なく思った。

「この子は…」
小声で色んな子の名前を教えてくれる緑。
同じクラスでよかった。
と、思ったら緑が先生に呼び出されてしまった。
どうしよう、一人だ。
「…あの」
ひきつる喉を必死に動かす。

「私、皆の事覚えてないんです…」
クラスの空気が凍った気がした。