………ヤバい、かも…しれない。


そう思ったのは、目の前の答案用紙のことじゃなくて。


………息、苦しい。


血の気が引いていく感覚。

イヤな汗。


……きもち…わる…。


3時間目の英語。

残り時間はあと10分ほど。


その時点で、わたしの手は完全に止まってしまっていた。


下腹部の痛みと吐き気に、あとどのくらい耐えられるだろう。


もう少し、頑張れそう。

もう、……無理かも。


それを何度か繰り返してきたけれど、そろそろ限界みたい。

手足が痺れ、意識が朦朧としだした。


あぁ、もう…ダメだ……。


「せ……、せい…。きも…………て、ト……イ、レ……」


小さく右手を挙げたけれど、先生は気づいてくれただろうか。


でも、先生の許可なんて待っていられない。


席を立ち、のろのろと一番後ろまで歩く。


途中、誰かの机にぶつかって。

誰かに何か言われたような気もして。


だけど、足を交互に出すことで精一杯だった。