「あ……。でも、……わかったんです、」
そう言うと、先生はわたしを見上げて瞬きした。
「なにがわかったの?」
優しく問いかけられて、喉の奥がウズウズした。
「……あ、…えっと。なにが、っていうと。
その…、なんていうか。つまらなくしてたのは、自分なんだ、って。……わかったんです」
気づけたのは先生のおかげ。
先生を好きになったから、先生がいる世界を眺めるようになった。
眺めてたら、学校生活に色がついた。
優しい、やわらかな色なのに、キラキラと眩しい。
「きっと、いろんなことが楽しめると思います。すぐには無理かもしれないけど、少しずつでも」
「そっか。それはよかった」
「……はい」
あぁ、もったいない。
この角度から先生を見ることなんて、きっともうないと思う。
カメラのシャッターを押したい。
記憶の中だけじゃなくて、ちゃんとかたちにして残しておきたかった。
わたしを見上げて目を細めた先生のこと。
記憶の中の先生が色褪せてしまわないように。



