『先生の彼女』

その存在をあれこれ考えてしまえば、半年近く経った今でも、それは苦痛なものでしかなくて。

それでも、なんとか乗り越えようとする自分がいた。

上手く言えないけど。

自分自身、もがきながらも受けとめようと努力しているんだと思う。


ならんで歩く姿。

優しい眼差し。

差し出したオレンジジュース。

触れた唇。


本当は、こっそり想像した。

きっと、恋をしたら誰もが想像してしまうであろう数々の場面を。

想像してしまった先生の表情ひとつひとつを、小さな箱に閉じこめていった。


いつかまた引っ張り出して、思い出に浸れるように、と。

強引ながらも、ひとつ残らず。


なにが正解なのか、今はまだわからないけど。


先生が、先生であるように。

先生を好きだったわたしが、わたしであるためにも。


ひとつ残らず思い出にする。


伝えることだけがすべてじゃない、と。

そうやって自分を慰め、褒めて。

いろいろなカタチがあっていいし、あるべきだ。

そんなふうに。