先生が先生でなくなってしまった。
そんな瞬間。
崩れ落ちた理想が、頭の中で熱を持ったまま脈打っている。
先生だって、ひとりの人間で。
大人で。
男の人で。
誰かを想うことも。誰かを大切にすることだって、自由なはずなのに。
わたしはそれを許せないと思った。
許せないんだと知った。
ズキズキと痛む頭を抱え、涙と深いため息をこれでもかというほど吐き出す。
少しでも楽になりたかった。
どうしてわたしじゃないんだろう。
間違ってもそんな言葉を口にしてしまわないように、今すぐ冷静さを取り戻すべきだ。
先生には彼女がいた。
わたしは失恋したんだ。
何度も何度も頭の中で繰り返す。
繰り返して、自分に言い聞かせていた。
わたしの初めての恋は終わったんだ、と。