「和葉だってさ、好きな人ができたらわかるよ。その人の理想に近づきたい、って気持ちが」
そう言って窓の外に視線を移した華乃。
彼女の視線の先には、雲を浮かべた青い空。
青い空と言うよりは、その先の、なにか。
遥か遠くを見つめ、ショウくんとやらを思い浮かべていることだろう。
だらしなく緩むその表情を見て、気づかれないように小さく息を吐き出した。
この表情が曇る日も、そう遠くないだろうな。
そう考えると、なんだかちょっぴり不憫に思えた。
華乃の恋愛って、ふわふわと、風に身を任せるしかできない風船みたいで。
ふわふわ。ふわふわ、と。
行き着く先を、わたしは想像することができない。
華乃自身は、どうなのだろう。
どう思っているのだろう。



