昼休み。
藤木くんと付き合うのは時間の問題だ、と華乃が言う。
「ふぅん。あ、そう」
わたしの素っ気ない返事も、いつものことだからと気にしていない。
もしふたりが付き合うことになったなら、メガホンの、あの恋に効くというおまじないもバカにはできない。
なんて。
もしかしたら。
そんな、わたしと先生のちょっとした展開を、正直に言うと1ミリくらいは考えたりしたけど。
そんなバカみたいなことあるわけない、ってすぐに消し去った。
「じゃあ、前回の復習ね」
授業が始まってすぐ、先生がプリントを配る。
捲り上げた袖からのぞく先生の日焼けした腕が、数日前の体育祭を思い出させる。
先生と言葉を交わすこと。
一緒に写真を撮ってもらうこと。
立てた目標も、なんとなくぼんやりしたもので終わってしまった。
もう少し頑張れたはず、と思ったり。
じゅうぶんなんじゃないか、と思ってみたり。
華乃と比べたら、ずいぶん中途半端なわたし。
そう思ったすぐあとで、華乃と比べるもんじゃないと自分で自分を慰めた。