スタートしたら、もう訳がわからなくなった。
自分が8人中何位なのか、とか。
どんな顔をしてゴールを目指しているのか、とか。
考えることも、想像する余裕もなかった。
そんな中、確実に縮まる距離。
先生にどんどん近づいていって。
心臓が口から出そうなくらいドキドキしてる。
こんなことなら、もっと、ちゃんと練習しておけばよかった。
先を行く生徒が勢い余ってハードルを倒した瞬間を目にして、怖気づいてしまった。
どうだったっけ。
タイミングとか、フォームとか。
今さら焦ったって無駄なんだけど。
「がんばってー」
「行けーっ」
そんな声援の中、半ば諦めの気持ちもあった。
ふぅっと小さく息を吐き出したわたしは、なるようになれ、って。
左足で勢いよく地面を蹴った。
「………っ、」
軽々と、とはいかなかったけど。
でも。
「……と、……べた、」
両足をハードルにぶつけることなく着地していた。



