『和葉の、あやのんに対する感情は、もう恋なんじゃないかと思うの』

だとしたら。

先生に対する感情は、なに?


……華乃のバカ。

考え出したら、また眠れなくなるじゃない。


いいかげん、スッキリしたいのに。

苦しいだけの「好き」は、いやなのに。



「写真、一緒に撮ってくれるかなぁ」

メガホンをぎゅっと抱きしめた華乃が、遠い目をして言う。

誰が見ても、恋をしてるとわかる表情。

素直で。ありのままの。

好きって気持ちを隠したりしない。


ちょっとだけ、うらやましいと思った。

わたしも、華乃みたいにいられたのなら。

そんなことを考えて。


「わたしも、……撮りたい」

華乃の耳に届かないくらい、小さな声で。


先生が運命の人だったら、なんて。

そんなこと、望んだりしないから。


今のこの感情を、なにか、かたちにして残しておきたい。

そんな勇気が欲しい。