きっと、授業中に行った小テスト。
単語がいくつも並んだB5サイズのプリントを手渡すと、先生は、
「ありがとう。助かった」
と言って口角を上げた。
「………、」
きゅっ、と胸が締めつけられた。
わたしは何も言えず、コクリと頷くだけ。
パタ、パタ、と掲示物が音を立てた。
「画鋲か、」
短く言った先生が腰をかがめ、外れた画鋲を探しはじめる。
「あ、」
わたしも一緒に探そうと、足を一歩動かしたとき。
「危ないから、篠田は動かないで」
プリントを持っていないほうの手でわたしの動きを制止する。
「………、」
そう言われたら、何もできない。
言われたとおり、その場を動かず、ただ先生を見ていた。
初めて目にした、先生のつむじ。
今日のソックスは、うすいグレー。
先生の優しさを利用して、そんなところを眺めていたと知ったら。
先生は、どう思うだろう。



