「ちょっと待っててね」
そう言った彼女は、職員室のドアをノックすると中へと入っていった。
わたしは廊下の掲示スペースに貼られた学年だよりなんかを、ぼんやりと眺めて過ごす。
廊下の窓は全開で、時折、掲示物がパタパタと音を立てた。
わたしたちの教室がある3階よりも、ここは風通しがいい。
制服のスカートの裾がふわりと揺れ、慌てて押さえる。
これを何回か繰り返したときだった。
ビュウッ、と。
強い風が吹き込んできたせいで、スカートは風を含んで大きく膨れ上がった。
焦って裾を押さえるわたしの目の前で、いくつかの画鋲が外れ、抑えのきかなくなった掲示物がバタバタと音を立てる。
カサカサと、数枚のプリントがわたしの足元に着地すると、パタパタと、それを追うように足音が近づいてくる。
「悪い、」
足元のプリントを拾い集めたわたしに掛けたであろう言葉。
……先生、だ。
ドキンと跳ねた心臓。
微かに震える指先。



