始業式が終わり、みんながぞろぞろと体育館を出ていく。
ふと、数名の女子生徒が先生に走り寄る姿が目に飛び込んできた。
まわりは騒がしいし、この距離からは話している内容は聞こえない。
ただ、先生は笑っていて。話しかけた生徒たちも笑っていて。
慣れない眼鏡のせいかもしれない。
ちょっとした頭痛がして、眼鏡を外しかけた。
「………、」
黒くふちどられた世界。
先生を中心に広がった世界を、わたしの眼鏡のフレームが切り取る。
少し日に焼けた肌の先生を、体育館に射し込む太陽の光が照らして。
夏の終わりと、秋のはじまり。
そんな狭間の色を纏っているみたいに。
なんて綺麗なんだろう。
「どうしたの?」
華乃が心配そうにわたしの顔を覗き込む。
「ううん。ちょっと、眼鏡が、」
胸の奥から込み上げてくる熱いなにかが、あとに続く言葉を溶かしてしまった。
「度数が合ってないの?」
華乃の言葉に首を横に振った。
「慣れてない、だけ」
そう。慣れていないんだ。



