「あーーー、スッキリした!」
そう言って大きく伸びをした彼女。
手を洗いながら、
「コンビニ寄っていい?のど渇いちゃった」
なんて言いながら、目の前の鏡に映る自分の顔をチェックしてる。
さっきまでトイレにこもって泣いていた子とは思えない。
まぁ、今にはじまったことじゃないけど。
「あ。和葉も何か飲むでしょ?付き合ってもらっちゃったし。おごるよー」
目が赤い以外、いつもと何ら変わりない様子で廊下をぴょんぴょんと弾むように歩く。
二階堂華乃。
彼女のことを「恋多き女」と言う人がいる。
それが、いい意味で使われているのか。
それとも、悪い意味で使われているのか。
わたしにはわからないけど。
ただひとつ言えるのは、
いくら恋愛経験が豊富だとはいえ、この先も、華乃を崇拝する日がやってくることはないだろう。
ということだけ。