「いい加減、帰りたいんですけど」
学校の女子トイレ。
閉ざされた扉を叩きはじめてから既に5分が経過している。
「うっ……、ぐすっ……、」
ガラガラガラガラガラ。
「ねぇ、」
「ひっ、……く、……うぅ」
ガラガラガラガラガラ。
「わたし、帰りたいんだけど」
「うーっ…、ぐすっ……、」
ガラガラガラガラガラ。
一緒に帰るはずだった友達の姿が見当たらず、学校中の女子トイレを探してみたら。
案の定、
「うーっ…、ひっく…、うぅっ…」
ガラガラガラガラガラ。
これだもの。
「はぁぁぁぁぁ」
大きなため息をひとつ。
仕方ない。
あと5分、待つとしよう。