「この辺りでよかった?」
「あ、……はい。そのコンビニを右に曲がって、………少し、行ったら」
「了解」
「…………」
20分が、あっという間に感じられた。
緊張はしていたけれど、嫌な緊張感ではなくて。
この緊張感から解放されたいと思う一方で、もう少しこのままでも、という気持ちもあって。
複雑、というか。
複雑、……かもしれない。
「悪い。ちょっと寄るよ」
そう言って、コンビニの駐車場に車を停めた先生。
エンジンをかけたまま車を降りると、コンビニの中へと入っていってしまった。
ここからでは先生の姿が確認できない。
タバコでも買うのかな。
実際、先生がタバコを吸うのかなんて知らないけれど。
わたしは目を閉じて、流れてくる洋楽に耳を傾け、先生が戻ってくるのを待つ。
吹き出し口からの冷たい風が心地よかった。



