先生の言葉で、ふらふらとした足取りが、ふわふわとしたものになる。
一歩前に踏み出すと、すぐそこに先生の背中がある。
間近で見た先生の背中に吸い込まれていく感覚がして、気づいたときにはもう体が浮いていた。
ゆらゆらと揺れる。
随分と昔に父親にしてもらったことを、この年になってしてもらうなんて。
しかも、先生に。
大人の、男の人に。
体じゅうから力が抜けていって、きっと先生は大変だっただろう。
それでも。
「もう少し、我慢できるか?」
そんな言葉を掛けてくれた。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
保健室までの道のりを、わたしはぼんやりとしか覚えていないけど。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ただ、そんな言葉を繰り返して。
ふわふわと揺れていた。



