「佐藤修?」
細野校長が戻ってきた。
「生徒がつけまわしてとか、言ってます、校長」
「そんなことする生徒がいるのですか?まずこれは事実ですね?」
「はい、確かにパチンコは昔から好きで・・・でもたまに・・・忙しくなるとストレスがたまってしまい・・・すみません」
豹変した小沼の態度に鈴木教頭はびっくりする。
「誰かがつけて調べたんでしょう、心当たりは?」
「・・・・・・」
「佐藤修とか、言ってたじゃないですか?」と鈴木。
「佐藤修?ああ、良く知ってます。だいたいこの日にあなたがパチンコ店とかに
うろうろしていたとすれば、彼は絶対に違いますね。あの子はイベントの中心的な存在で、ここのところ、ずっと職員室や校長室、クラスで残って準備や勉強をしています。」
「じゃ、誰が?」
「そんなこと!私が聞きたいです!」
我慢していたのか、細野が初めて声を荒げた。
小沼先生の30日は、学内でも大きな話題になり、それは掲示板やSNSなどを中継して学外に広がっていった。
授業でもくすくすと笑いや冷めた目線が小沼を覆った。
そんなある日、廊下で小沼に声をかけた学生がいた。
「先生」
振り返った先にいたのは、澄み切った少し青い眼。
「なっなんだ?」
「以前、英語の学内推薦試験を受けて結果が悪かったんですが、どうにも合点がいかなくて、知り合いの専門家に頼んでみたら、やはり書いた回答を消してわざわざ間違いを書いているそうです、これがその回答用紙です」
「なんでそれを俺に言うんだ!俺がやったっていうのか?」
「いいえ、証拠がありませんから。報告ですよ。こういうことがあったと」
「お前がやったんだろう?」
「何をですか?」
「とぼけやがって!俺をつけまわしてブログに書いたのはおまえだろ?パソコンもくわしいそうじゃないか?警察に依頼するつもりだからな!退学を覚悟しておけよ」
「録画することなんか、無理ですよ。学校にずっといましたから。それこそ証拠がないでしょう。それに何でそんなに俺を嫌うんですか?英語の学力差ですか?それとも身長差?・・」
その小さな体型に似合わず小沼は佐藤修に敏捷に飛びかかった。