修にセクハラ上司の相談をしたら、いつのまにか、その上司は社内でつるしあげをくった。こわもてのセクハラ担当弁護士から、名指しで会社に電話も入ったそうだ。
修に聞いたところ、良かったなとしかいわないし、自分はもちろん関係ないという。
悪い奴は天罰さ、と。
気のせいなのだろう。
でもいつも誰かが見ているような気持ちになることがある。
いやーな感覚だ。
「疲れてるのかなあ」退社前にコーヒーを飲むと美穂は、首を回す。
一度、湧いた疑念はなかなか払拭できない。
「絶対にそんなこと・・・ないよね、修に限って」
部屋に戻って修からもらったものを何気なくベットの上に置いてみる。
バッグ?でもお店で買ったものだし、違うバッグでいくことも多い。
ああ、腕時計を直接もらった。
故障したということにして違う時計をつけてみようか。
「ドンドン!」部屋の扉が叩かれる。
「なに!驚くじゃない!」
妹が入ってきた。
「大丈夫?具合悪そうだったから・・・?何してんの・・お姉ちゃんに?あんないい人いないよ」
「わかってる。ただいろいろあって・・・私の居場所がわかってるような気がすることがあるの」
「お姉ちゃんが心配かけるようなこと、してんじゃないの?それで心配して」
「違う、違う、付き合いで私を誘ってくれる人もいるのよ、でもそんな人へ電話や変なメールがきたりと・・・・私を怖がってる人もいるの」
「好きじゃないの?修君のこと」
「好きだよ、だから付き合ってるんだけど、でも仮にストーカーだったら別れるわ」
「ストーカーならね、絶対違うよ。」
「そうよね、そんな風に思うことがよくないよね」
「本当に好きなら本人に聞いてみれば?」
「そんなこと、聞けないでしょ」