入学して日が経つにつれて、この学園の奇怪ぶりがだんだん露呈してくる。

『新入生を祝う会』が催された時、ガヤガヤと騒々しい新入生達を一喝もせずに黙らせた生徒会長は、盲目で白髪で、とても可愛らしくコロコロ笑うのに殺し屋みたいなオーラを放つ人だった。

クラブ見学の時に試しに覗いた剣道部では、教師でもないのに顧問を務めるすこぶる強いおじいさんがいたのだが、指導もせずに酒を浴びるほど飲んでいた。

そんな剣道部を見学して目眩を起こしたクラスメイトを保健室に連れて行くと、何やら悪寒やら吐き気がすると言い出して余計に体調不良を起こして早退してしまった。

極めつけは廊下で遭遇した風紀委員長。

もう小夜の口からは言うのも憚られる単語を連発されて追い回された。

身の危険を感じたので、祖父直伝の関節技をかけたのだが。

「たまには痛いのも快感ね!もっと捻り上げて!」

とか言われて鳥肌が立ったので廊下を走って逃げた。

痴漢に遭っても返り討ちにする小夜なのに、こんな恐怖と恥辱は初めての事だ。