いきなり。

本当にいきなり。

「ぎゃん!」

上級生は脳天に拳骨を叩き込まれた。

「っ……」

驚いて見上げる小夜。

上級生の背後に、男が立っていた。

黒髪短髪長身。

制服の上着、その捲った袖から覗く腕は、まるで彫刻のような筋肉で覆われている。

そんな腕から繰り出される拳骨。

さぞかし痛いに違いない。

「きっ…」

上級生が男を見上げる。

「貴様っ、丹下 龍太郎っ!」