「……ということなんだけど…。」
『それは大変ねぇ?」
全てを聞き終えた母が心配そうな声を出す。
「……無理…だよね?」
私は無理の言葉を待つかのように誘導する。
『うーん……でも流石に可哀想じゃない?その人は家に帰る気ないんでしょ?』
「…まぁ……。」
ダダまでこねるくらいだし
ボンの裾切ってまで抜けてきたんだし。
『それにもし今返したら……明日テレビで名前知ることになりそう。』
母が低めのトーンでボソリと呟いた。
「そんな物騒なこと言わないでよー…」
『ふふっごめんなさいね(笑)…今日は泊まらせてあげましょう。ね?』
意外な答えに一瞬戸惑った。
「…わかった……はい。…ばいばい。」
私はゆっくりと受話器をおいた。