当の本人って、私みたいなんですけど。
アンコールに、なにかがあったの?
今見ている映像を、脳内で早送りしてみたけど、この先のアンコールで、特に引っ掛かる記憶は――思い当たらない。
確か、どうでもいいことって、人の記憶から削ぎ落とされていくんだよね?
テレビで誰かがそんなこと言ってた気がするんだけど。
だから、きっと、アンコールでの晃の云う“あれ”も、とりわけ大したことはないんだろうと、私は勝手に思っていた。
「まぁ、美紗がこの調子だからな・・・・・・このまま見てればいいんじゃねぇの」
尚輝が、どうでもよさそうにそう言うもんだから、VTRは再生のままで。
尚輝の態度が態度だから、こっちも本当に、もうどうでもいいとさえ思えて来て、そのまま黙って映像を見続けた。
4曲の演奏を終えた後、緞帳は一旦下がった。
そして、黄色い悲鳴のような声援があった後、それはアンコールのコールへと変わり。
少し経ってから、私のキーボード音と共に、再び緞帳が上がった。
そのイントロと共に、再び黄色い声が体育館内には響いていた。
中学の時に流行った、インディーズバンドの人気曲。
それが、問題(?)の、アンコールの曲だった。


