「え? まぁ、震えないけど。でも、弾かないといけない状況なんだから、弾くしかないんだよ。例えば入学式の時とかさ、弾きたくなくても、決められちゃったら、いつまでも嫌って思ってやる方が嫌だったし。だって、絶対に弾かないといけないんだもん。緊張しようがしまいが、引き受けた以上は役目は果たす、それが人間てもんでしょ? 出来なきゃ私が出来ない人間に思われるだけなんだし」
「そういうスパッとした性格からして、肝が違うよな」
「お前、その性格だから色々な伴奏押しつけられて――アホかよ」
「はぁ? その発言、ちょっと酷い」
「ちょっとかよ」
「じゃあ、かなり酷い」
今日の尚輝は、やたらと突っかかる感じがしないでもないんだけど、なんなの?
さっきのことも手伝ってか、ムカムカが再発していた。
今日は電話の時と、さっきと、今とで、なんか本当に尚輝が変。
いつもとなにかが違う。
私の思い過ごし?
なにか気に障るようなことしたかな・・・。
特に思い当たる節がなく、気分の悪いまま、映像に意識を集中させた。


