『あ? なんつーか、気が重てぇってだけだけど』
「それってなんで?」
『よりによって、あの男って、あいつ趣味悪すぎだろ』
「――まぁな」
な、なに、この映像――会話オンリーみたいなの、止めて欲しいんだけど。
しかもこれって、私のこと言ってない?
[あ、あ。これ、音出てる?]
[バッチリ出てるよ~]
「これ、美紗だろ? なに、まさか歌わないよな?」
『ん? 弾いて、ハモるって言ってたから、軽くは歌うんじゃねぇ?』
「マジ? つーか、思いっきり声聞こえてっし」
「は? なに? 美紗ちゃん歌うの? ヤバい、ちょっと興奮するかも」
「ウッチーうるさい、耳元で騒ぐなよ」
「いや、だってさぁ、俺それ今知ったし! 興奮するに決まってんじゃん!」
『内田、お前、キモいこと言うな』
「うわ、ヒドいなぁ、未来のお兄さん!」
『お兄さんて、お前――冗談でも本気でも、殴るぞ』
「怖っ! 逃げ場なしかよ!」
「アハハッ! 今日の尚輝は、キレっキレだな」
本気でこの映像、止めて欲しいんだけど。
晃も敦君も、これを見ながら笑ってるけど――反して尚輝は無表情。
この先一体どうなるの?


