「ビールあったっけ?」
「うん」
「んじゃ、軽く飲んで待ってるかな」
尚輝が敦君をソファーに誘導した後、ビールを取りに来て、私は出来上がっていた品を、先にテーブルへと運んだ。
そして、かけていた音楽を消してキッチンへ戻り、母が持たせてくれた干物を焼き始めた。
昨日、久しぶりに父と尚輝とショッピングに出掛けたけれど、一緒に行くと思っていた母は用事があるからと、1人で出掛けてしまった。
用事があるなら残念だけど、またの機会に――なんて思っていたけれど。
帰りに持たせてくれた地元の野菜や有名な干物を、1人で買いに出掛けていたと知ったのは、昨晩の夕飯を食べ終えてからの事。
他にも、今度送ろうと思っていたという物をお母さんは色々とまとめておいてくれた。
離れて暮らしている分、そういうことをしてくれちゃうと余計に母の有り難みが心に沁みて、涙腺が弱まってしまう。
さっきの晃の話に戻したい訳じゃないけど、晃が零した愚痴のような小言は、うちを見て、自分の家はって、思った部分もあったんだと思う。
これから晃が秘蔵VTRを持って来るのはいただけないけど、ちょっとは我慢するか――。


