彼は、理想の tall man~first season~


自分の親を悪く言うのはどうなんだろうって、少なからず思っていた私だった、けど――。


「ったくよ、久々に実家に帰ったら、手厚くまでは行かなくても、ちょっとは嬉しそうな顔するんもんなんじゃねぇかと思いきや――用もないのに帰ってくるなだしな」


息子がたまに帰省した時くらいは、喜んで出迎えてくれるくらいの愛情は欲しい――よね。

親が仕事一筋過ぎると、やっぱりちょっと子どもとしては、受け入れられない部分であり。

喩え成人していたとしても、引っ掛かる部分なんだと思う。

愚痴を吐き出して気が済むんであれば、聞くに徹して、少しでも気が晴れたらいいかなと、そんな気持ちになって、私は手を動かしながらも、頷いて聞いていた。



「はぁ――まあ、うちがそんなんだったから、俺は多分お前のこと、」

「――え?」

「いや、悪ぃ、なんでもねぇ」


ちょっと変な話の流れになりそうな雰囲気だった――。

だけど、私は何も言えなかったっていうか、追ってはいけない話だと、感覚的にのみ込んだ。



「なあ、美紗んちの親は、おじさんが長期でいないことが多くても、うまくいってたろ?」

「え? う、うん」