自分の親を悪く言うのはどうなんだろうって、少なからず思っていた私だった、けど――。
「ったくよ、久々に実家に帰ったら、手厚くまでは行かなくても、ちょっとは嬉しそうな顔するんもんなんじゃねぇかと思いきや――用もないのに帰ってくるなだしな」
息子がたまに帰省した時くらいは、喜んで出迎えてくれるくらいの愛情は欲しい――よね。
親が仕事一筋過ぎると、やっぱりちょっと子どもとしては、受け入れられない部分であり。
喩え成人していたとしても、引っ掛かる部分なんだと思う。
愚痴を吐き出して気が済むんであれば、聞くに徹して、少しでも気が晴れたらいいかなと、そんな気持ちになって、私は手を動かしながらも、頷いて聞いていた。
「はぁ――まあ、うちがそんなんだったから、俺は多分お前のこと、」
「――え?」
「いや、悪ぃ、なんでもねぇ」
ちょっと変な話の流れになりそうな雰囲気だった――。
だけど、私は何も言えなかったっていうか、追ってはいけない話だと、感覚的にのみ込んだ。
「なあ、美紗んちの親は、おじさんが長期でいないことが多くても、うまくいってたろ?」
「え? う、うん」


