「見兼ねた兄貴が家事を請け負ってたけど――俺そんなん見るのも嫌で。だから尚輝んちに居座ってたんだろうな」
「でも、私も尚輝も、晃んちに結構遊びに行ってたよね?」
「兄貴が、結構気にしてたんだよ――遊びに行くばっかりじゃ悪いから、たまには家に呼べって」
「そうだったの?」
「まぁ、転校生だったから、俺にちゃんと友達が出来たのか、どんな友達と遊んでんのか、心配してたんだろうけど」
「・・・・・・なるほど」
晃のお兄さんとは、夜とか結構顔を合わせることは多かった。
晃のお母さんは女医さんで、遊びに行っても、本当にごくたまにしかいなかったな、と――ぼんやり当時を思い出した。
晃の両親は、離婚はしていないみたいだけど、いつの頃からかほぼ別居状態で――。
ただ、今現在もそうなのかは、ちょっと聞くに聞けなかった。
「うちは母親が母親っぽくなかった分、兄貴には負担かけ過ぎちまって――だから、兄貴が結婚して、嫁さんの実家の隣に家を建てるって言った時は、やっぱりなって思った。今じゃ滅多に実家にも帰らねぇし」
「でも、お兄さん夫婦って、確かおチビちゃんが――」


