彼は、理想の tall man~first season~


なんか、それって――敦君に出会ってからの私みたい。

なんてね。

いや、でも、案外そんな感じなのかな?

どちらにしても、好きってことでは共通項だけど――。



「やっぱり、ほうれん草はゴマ和えにしようかな」

昨日の朝、母がお浸しを食べさせてくれたことを思い出し、ゴマを取り出した。


着々と作業を進める私。

未だに会議の打ち合わせが終わらない彼ら。

そんな時、ピンポーンなんて、玄関押しのチャイムが鳴った。

玄関チャイムってことは、このマンションの住人?

疑問に思いながらモニターを見ると――、

「ちょっと待って、今開ける」

きっと尚輝が呼んだであろう、晃が立っていた。


「よっ! 昨日ぶり」

「あ、うん。いらっしゃい」

「尚輝は?」

「いるけど、今、敦さんと仕事のことで部屋にこもってる」

「は? マジか」

「うん、取りあえず上がって待ってて・・・・・・今、ご飯作ってるから」

「おぉ、悪ぃな」


お風呂上がりな雰囲気でやって来た晃。

尚輝がひょっこり顔を部屋から出すと、「悪ぃ、ちょっと待ってて」と――ちょっとでは終わらなさそうな雰囲気で、再び部屋に引っ込んだ。