彼は、理想の tall man~first season~


「いいの? ってか、なんでそんなに堅苦しいの?」

「――え? あの、それは、やっぱり、ちょっと緊張するというか」


誘い方が変だった事で、もう苦笑いするしかなかったけれど、笑って流してくれた敦君からはそれ以上突っつかれることはなく。

雨も止んだし、そろそろ帰ろうかということになって、私は来た道を引き返した。



「ただいまぁ」

「お邪魔します」


敦君と共に帰宅すると、尚輝が自室からひょっこり顔を出し、「お帰り」と言った直後、私の後ろにいた敦君に「敦さん、いらっしゃい」と――そこまでは良かった。

リビングでお茶でも――なんて暇を与えず、明日の会議のことで確認して欲しいことがあるからと。

尚輝はまるで敦君が此処に来るのを待ってましたとばかりに、自分の部屋に連れて行ってしまった。


まぁ、明日の会議は大変そうだから仕方ないかと自分に言い聞かせ、とりあえず私は自分の部屋に入り。

軽く着替えてご飯の支度に取りかかった。

その傍らで珈琲を淹れて、尚輝の部屋に持って行くと。

男2人パソコンの画面に向かって、何やら難しい顔をしながら小難しそうな話していた。