暫くジッとして、その状態をキープ。
ただ、さっきの一撃が最大級だったみたいで、徐々に雨も弱まり、雷も遠くなって、明るさが戻り始めた。
灰色の空はスカイブルーさを取り戻し、パァッと、あっという間に晴れ間が戻った。
それはホッとする瞬間。
だけど離れるのは、なんとなく寂しい。
それでも、もうこうしてもらって居られる理由もないから、そっと離れた。
「あの、ありがとうございました」
雷鳴劇場が終焉を迎えると、急に恥ずかしくなる。
それでも、言わなければいけないこともある訳で。
お礼を口にすると、「もう大丈夫?」なんて聞かれるから、黙って大きく頷いた。
なんだ、残念――なんて、冗談を言って笑う敦君につられて、私も笑うしかなく。
でも、そんな風に言って貰えたから、恥ずかしさはかき消されて、運転席の正位置に戻った。
そして肝心なことを聞き忘れていた私は、丁度思い出したタイミングで、それらを口にした。
「あの、昨日母が色々と持たせてくれた食材があるので、良かったら家で夕飯なんてどうですか?」
少しお待ちしてもらうことになりますが――なんて、言うのにかなりの勇気がいった。


