好きなことを職業にして、とことん突き詰めるか――与えられた場所で、がむしゃらに生きるか。
どちらが良いのかは、今はきっと分からないことなんだろうけど。
好きなことを職業にして生きている人は、きっとほんの一握りで。
与えられた場所をものにして、好きになって生きている人も、多分そうはいない。
ただ、老い先――後悔する人生だけは送りたくはない。
人生75年としたって、もう3分の1は過ぎようとしている。
残り後50年――私は一体どんな人生を送りたいんだろう?
これから――どう、誰と。
そんなことを考えながら、なんとなく隣に座る敦君に、私は目を向けていた。
敦君との将来――描ける?
っていうか、そんな妄想みたいなこと、そもそもしていいのかな?
ふわふわんと頭の中に浮かんだ情景――。
意外にも簡単に描けてしまったその情景と、リアル敦君とバチリと目が合ってしまって、私の心拍数は一気に上がった。
「ん?」なんて、軽く小首を傾げられてしまって、対する私はフルフル首を振ったけれども。
ドキドキが治まってくれない。
雰囲気爽やかなのに、甘いマスク。
それを纏った感じがヤバい――というか、好きなんだと思う。


