それとも、裏なく、単に慣れさせてくれる為に?
この際ほんと、どっちでもいいけど、さっきよりも一段と景色が綺麗に見えるのは、これの効果なのかな?
そんなことを考えながら高鳴る胸には気付かない振りをして、景色に見入ることに意識を向けた。
だけど、腰からさり気なく離れた手が私の頭に軽く触れて、敦君の肩に預けるような感じで動いて。
もうそのあたりからは、心臓が飛び出そうなくらいバクバクしていたんだけど。
身を預けるようにさせたその手は、再び私の腰に落ち着くのかと思いきや、二の腕に廻って、体を更に敦君の方にという感じで、軽く力が加えられた。
顔を少しでも敦君の方に上げようもんなら、直ぐキスでも出来ちゃいそうな――そんな距離。
バカみたいにドキドキして、流石にこれには慣れないだろうと思った。
でも、嫌だとかって感情は、不思議と全くなくて。
お互いのパーソナルスペースに完全に入り込んだこの状況は、私には甘い状況以外なにものでもなく。
完全に恋人同士と言っていいその距離は、今までの妙な距離感を打ち壊す――距離を縮める行為に発展しそうな――そんな密着感で。
今日の敦君は、必要以上に私をドキドキさせた。


