避けて通って来た道は、今になってまたハードルを作るんだから、難儀だ。
「それじゃ、もう少し、慣れておきたいと思う?」
「――え?」
「例えば、こんな風に――」
返事をする間もなく――というか、状況を呑み込むのでいっぱいいっぱいだった私は、それからほんの数秒後。
景色を一望出来る方向にくるりと体を方向転換されていて。
隣には敦君が立っていて、腰に手を廻されて、ぴったりとくっついた状態で――かなりドキドキさせられていた。
付き合いはじめていきなりこれをやられていたら、流石に引いていたかも知れないそれは、距離をどうにかしたいと思っていた最中でのこれだから。
戸惑い3分の1、嬉しさ3分の2みたいな比率で――。
だけど、人前でこんなことはしたことがない。
目にすることはあっても、実体験はなかったから、やっぱり戸惑う。
まぁ、でも、人前と言っても、ひとっこ一人通らない場所だから、ここは単に外というくくりなんだけだけど――。
それにしても、こういうことをさらりと出来ちゃう人なんだ。
でも、一応、聞いて来た雰囲気からして、計りかねていたのだろうか?


