彼は、理想の tall man~first season~


避けて通って来た道は、今になってまたハードルを作るんだから、難儀だ。


「それじゃ、もう少し、慣れておきたいと思う?」

「――え?」

「例えば、こんな風に――」


返事をする間もなく――というか、状況を呑み込むのでいっぱいいっぱいだった私は、それからほんの数秒後。

景色を一望出来る方向にくるりと体を方向転換されていて。

隣には敦君が立っていて、腰に手を廻されて、ぴったりとくっついた状態で――かなりドキドキさせられていた。


付き合いはじめていきなりこれをやられていたら、流石に引いていたかも知れないそれは、距離をどうにかしたいと思っていた最中でのこれだから。

戸惑い3分の1、嬉しさ3分の2みたいな比率で――。


だけど、人前でこんなことはしたことがない。

目にすることはあっても、実体験はなかったから、やっぱり戸惑う。

まぁ、でも、人前と言っても、ひとっこ一人通らない場所だから、ここは単に外というくくりなんだけだけど――。


それにしても、こういうことをさらりと出来ちゃう人なんだ。

でも、一応、聞いて来た雰囲気からして、計りかねていたのだろうか?