「うれしかったもん」
今度は声を張る意識を強めて、大きめに声を出して、言葉を発した。
だけど言ってから、敦君の驚いた表情を見て、恥ずかしくなって私は更なる補足をする為に饒舌になっていた。
「ただ、私――ああいう時、だいたい盾にされてたから、だから驚いちゃって」
「――え?」
「例えば、学校の校庭とかで、砂埃が舞うくらいの突風が吹いたら――私、この図体だから、友達に盾として有効利用されていた側で。こんな風にしてもらったことなんてなくて」
「嫌、ではなかった?」
「嫌だなんて思わないですよ。さっきみたいにされて、嬉しかったけど――ただ、こういうのって、どう身動きとればいいのか解らなくて。で、そういう自分ってどうなんだろうって、浅いなって。自分に対して幻滅というか」
黙ってジッと私の言うことに、敦君は耳を傾けてくれていて、私の言い分を真摯に聞いてくれる態勢だった。
「だから、本当にあんまりこういう事には免疫がなくて――」
ここまで言ってしまったら、面倒な女って思われないか不安にもなったけれど。
敦君はそんなことではバカになんてしないだろうとも思って、恥ずかしいけれど、そこまで私は話ていた。


