本当にこの状況から、どうやって元の位置に戻ろうかと、必死に考えた。
だけど、考えた所で名案なんてまるで浮かばない。
事態はおかしくなっていくばかりな気がして――気分を害していたらどうしようとか、気持ちが焦った。
「――っ、ごめんなさい」
その結果、なんとなく謝るしか出来なくて――だけど、敦君は当たり前にその意味が解らないようで。
「ん？ なんで謝った？」
余程可笑しな返答だと思ったのか――敦君の発したイントネーションは、若干おかしなものだった。
特に苛立ったりだとか、そういう雰囲気は感じなかったけど。
このままだと訳の分からない女ってことにもなりかねないと思って、私は一旦そっと離れた。
だけど、その直後に――
「ごめん、嫌だった？」
敦君のそんな言葉が耳に届き。
――え？
と、思って顔をそちに向けていた。
恥ずかしいと思って顔を上げられなかったのに、的外れなコトを言われると、意外と平気で、すんなり顔を上げられた。
「嫌だった？って、私が何に対してそう思ってるんじゃって、思ったの？」
問われたことは、何に対しての問いなのか――。
