ひとりの時は平然とまではいかずとも、それなりにやり過ごせていたのに・・・・・・。
か弱い女の子みたいに助けられてるって、計算ぶりっ娘でもあるまいし。
念願叶ったり――が、逆に恥ずかしいことのようにも思えて。
そんな素直ではいられない自分にイラッとした。
甘えたくても、簡単にはそれを出来ない私。
素直に甘えるとかって、難しいものなんだな――。
これも、慣れれば普通に自然にそうなれるものなのか。
自らそれを好んで、そうしてもらえるようになるのか否か。
慣れていないから、そう思う事が当たり前のことであればいいけど。
世間一般女子は、どうなんだろう。
そんな精神状態で、私は正直、本当に戸惑っていた。
「美紗ちゃん?」
「――はい」
名前を呼ばれて、私は伏せた状態のまま返事をした。
風は止んでいたから、ここで顔を上げないのは、変に思われるだろうとは思っていたけれど。
この状況ですんなり顔をあげられるほど、こういう状況には慣れてないワケで――。
「目に、なにか入った?」
不信に思っているであろう敦君の問いに、黙って頭を振って否定するしかなか出来なかった。


