彼は、理想の tall man~first season~


ひとりの時は平然とまではいかずとも、それなりにやり過ごせていたのに・・・・・・。

か弱い女の子みたいに助けられてるって、計算ぶりっ娘でもあるまいし。

念願叶ったり――が、逆に恥ずかしいことのようにも思えて。

そんな素直ではいられない自分にイラッとした。

甘えたくても、簡単にはそれを出来ない私。

素直に甘えるとかって、難しいものなんだな――。


これも、慣れれば普通に自然にそうなれるものなのか。

自らそれを好んで、そうしてもらえるようになるのか否か。

慣れていないから、そう思う事が当たり前のことであればいいけど。

世間一般女子は、どうなんだろう。


そんな精神状態で、私は正直、本当に戸惑っていた。


「美紗ちゃん?」

「――はい」


名前を呼ばれて、私は伏せた状態のまま返事をした。

風は止んでいたから、ここで顔を上げないのは、変に思われるだろうとは思っていたけれど。

この状況ですんなり顔をあげられるほど、こういう状況には慣れてないワケで――。


「目に、なにか入った?」

不信に思っているであろう敦君の問いに、黙って頭を振って否定するしかなか出来なかった。