その時に、敦君と一緒にここから富士山を見ることが出来たらいいなぁ――なんて、私が画面と風景を交互に見て、そんなことを考えていた、その時。
「う、きゃーっ!!」
いきなり突風が吹き、髪が四方八方に乱れに乱された。
目を瞑ってやり過ごさないといられない――そんな強風に煽られて、私は身を縮めざるを得なかった。
木々も激しくそれに反応して、バッサバサと音を立て、枝々がぶつかり合っている音が聴こえる。
「凄い突風だな」
本当にそうだと思いながら、強風に耐えていると、自分の体が突然傾いた。
――え?
なんて声を上げる暇もなく、トンと何かに頭が触れて。
「大丈夫?」
頭上から聞こえたその声に、自分が今どうなっているのか理解した。
私に当たる風を遮るようにしてくれて、敦君は盾のようになってくれたのだ。
学生期、こういう場面で、友達から盾にされることはあったけど。
盾になってくれる人なんて、尚輝くらいなものだったから――どうしていいか解らなくて、だけど、ドキドキした。
異常なくらい、心臓が反応していた。
私は下手に身動きが取れなくなり、敦君の胸元を借りてジッと縮こまる始末。


