彼は、理想の tall man~first season~


こうしてのんびり出来る場所や機会というのは、やっぱりたまには必要だと改めて思った今日この頃な気分でいると。


「いい眺めだね」

敦君の立っている傍に立った私に向けられた言葉は、正にその通りな言葉で。

それ以外の違った言葉を言われていたら、素直に笑って返すことなんて出来なかったかも知れず。

変に格好つけた言葉ではなく、そのままのシンプルな言葉が私をどこかホッとさせてくれた。


「退屈じゃない?」

「え? どうして、です?」

「んー、特にする事ないし、景色を見てるだけって、若い子にはどうなのかなって思って」

「私、一日中、飛行機を見ていても飽きない人間なので、全く飽きることはないですよ? それに、ここ、空気がとても美味しいし、景色も最高にいいし。静かで落ち着くから、こういう所、好きです」


私の言ったことに対して、それなら良かったけど――と。

敦君は、どこかホッとしたような表情をして、フッと笑っていた。


ここは大自然に囲われて、都会や通常の生活には全くない雰囲気の場所。

実際、山と湖しかないけど。

その中でも、敦君はこういうスポットを見つけ出してくれた。