彼は、理想の tall man~first season~


「まぁ、美紗の心配も解らなくもないけど、敦さんは仕事は仕事って、割り切れる人だから、心配するほどのことでもねぇだろ」

「―――」

「だから、余計なこと考えないで、吸ったらとっとと寝ろよ」

「――うん」


流石双子の片割れなだけあり、尚輝は私の不安をいとも簡単に拭ってくれた。


「それにしても――美紗でも女の影を気にしたりするんだな」

「――え?」

「いや、学生の頃なんかは、相手が飲み会に行こうが、気にもしなかったのにと思ってさ」

「んー、なんなんだろうね? 私もこういう自分がちょっと鬱陶しくも感じるんだけど」

「はぁ? 気持ちがそこにあるから、ちょっとのことでも不安になるんだろ? 美紗にとっては、いい傾向だろ」

「そうなの?」

「度が過ぎると、うざいけど。美紗にしては上出来な範疇」

「なに、それ?」

「褒め言葉」

「――に聞こえないけど?」

「気のせいだろ」

「まぁ、いいけど」


今私がその社長令嬢のことで悩んでも、無意味だとも思えて、割り切った。


それからもう1本尚輝から煙草をもらって、ベランダで夜風に吹かれてから、自分のベッドに戻った。