「それなら、社長のひとり娘かもな」
「社長の、ひとり娘?」
「そう、研修で色んな部署回ってて、今月から営業」
「へぇ――そうなんだ」
「これが、やたら仕事熱心な人なんだよなぁ」
「社長さんのひとり娘か――それって、行く行くは婿殿もらって、って感じ?」
「んー結婚するまでは、社内で働きそうな感じはするな。実際余所で3年働いてて、この春から父親の会社で働き始めてるからな」
「ふぅーん、そうなんだ」
「なに、綾子さんがどうかしたの?」
「アヤコ?」
「ああ、社長の娘の名前」
「アヤコさんて呼んでるの?」
「それは、本人希望の呼び名」
「そうなんだ――ってゆうか、私と電話で話してた時、11時は過ぎてたんだけど、」
「は? 11時過ぎても綾子さんいたん?」
「うん――それがアヤコって人なのかは不明だけど、中條さんに何か聞きたそうでさ、話しかけて来た感じだった」
「営業アシスタントもいるにはいるけど、11時過ぎまで残る仕事内容でもねぇし、必要があったとしても、その時間まで残ってくれる人間は、いねーな」
社長令嬢は、単に仕事熱心な人なだけなのか。
それとも――。


